昼下がり時のデイサービス。窓辺には、渦巻く白煙を上げる蚊取り線香が、仄かな甘い匂いを漂わせていた。その煙に目を細め、子供たちは思い思いに過ごしている。普段は活発な子供たちも、蚊取り線香の独特な香りに包まれ、不思議な静けさに包まれていた。

Aくんは、線香の煙がゆっくりと空に昇っていく様子を、じっと見つめていた。初めて見る蚊取り線香。その不思議な動きに、目を輝かせ、小さな手で煙を追いかける仕草を見せる。

Bちゃんは、線香の周りをくるくる回りながら、煙が自分の体に触れる感触を不思議そうに感じていた。時折、くすぐったそうに笑い声をあげる。その表情は、何とも言えない満足感に満ち溢れている。

Cくんは、蚊取り線香の傍らで、静かに目を閉じていた。心地よい香りに包まれ、穏やかな眠りに落ちていく。彼の顔には、安らかな笑みが浮かんでいる。

スタッフは、そんな子供たちの様子を優しく見守っていた。初めて体験する蚊取り線香。子供たちは、その不思議な魅力に心を奪われているようだった。この瞬間の静寂と安らぎは、明日への活力を与えてくれるだろう。

やがて、蚊取り線香の煙は薄れ始め、子供たちも目を覚ました。夕焼け空を背景に、子供たちの笑顔が一層輝いて見えた。 それは、小さな日常のなかの、大きな発見の瞬間だった。